指先が滑るたび、意識は深く沈んでいく。金属の輪が肌に触れるたび、時間はゆっくりと歪んだ。感覚の焦点が一箇所に集まり、そこにすべての熱が宿る。逆手に絡む静かな刺激が、まるで秘密をささやくように神経を撫でる。睾丸の奥で灯るような熱が、ひとつの予感となってせり上がってくる。自分ではない誰かに操られているように、腰は抗えずに沈み、溜めていたものが堰を切ったように溢れ出す。その一瞬のためだけに存在するような時間に、彼はただ、没頭していた。
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