「独りの部屋、滴る静寂の中で」
HARUは静かにローションガーゼを手に取った。ひんやりとした感触が、火照る掌に心地よく馴染む。
その布をゆっくりと巻きつけながら、彼は己の中心を丁寧に扱った。擦れるたび、亀頭をかすめる刺激が脳髄を震わせる。
それは単なる物理的な快感ではなく、深層に眠る欲動をそっと揺り起こすような、静かで強い衝撃だった。
「んっ……」
思わず喉奥から漏れる声は、無意識の欲望が形になった証。空間に響くその音すら、彼にとっては悦楽の一部だった。
腹筋が蠢く。呼吸が浅くなる。まるで肉体が快感の波に抗うように震えながらも、心は抗う術を持たない。
ただただ、快楽に没頭するしかない。
濡れたガーゼが優しく、しかし確かに彼を導いていく。時間の感覚は曖昧になり、部屋の静けさの中で唯一、彼の熱だけが確かに存在していた。
それは孤独な行為ではなく、自身と向き合う瞑想のようでもあった。
快感に沈みながら、彼は今夜もまた、ひとつの宇宙を旅する。