指先が胸の突先をかすめた瞬間、体がピクリと反応する。わずかな刺激にすぐ快感が押し寄せてくるのは、生まれついての敏感体質ゆえ。その感覚に身を任せるように、腹部に自然と力が入り、引き締まったお腹に走る筋が浮き上がる。抑えきれない熱が内側から膨らみ、呼吸は荒々しく、途切れがちな吐息が熱を帯びて漏れ始める。
手のひらが下腹部に触れるたび、焦点が定まらず、甘く切ない喘ぎ声が喉の奥からこぼれ出る。理性は遠のき、意識はただ一点に集中していく。思考も時間も消えていき、今あるのは己の感覚だけ。快感に身を浸し、彼はただ静かに、けれど確かに、自慰に没頭していく。その姿には、誰にも触れられない密やかな美しさが宿っていた。